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未来のクルマ、軽さと強さの極限をシミュレートせよ。工学部機械工学科 蔦森研究室

「ある日の蔦森研」研究室 実況LIVE

巨大な引っ張り実験装置のチャックに、高張力鋼板の断片が固定される。
自動車のボディなどに使われる鋼板だ。
装置のスイッチが入ると、鋼板が上下にじりじりと引っ張られていく。
その様子を少し離れた位置から、高速度カメラがねらう。
かたわらのディスプレイには、極限まで引っ張られ幅も厚さもやせ細り、悲鳴を上げそうな鋼板が映し出されている。
瞬間瞬間を反映するさまざまなデータ、数字も流れていく。
学生たちは、ディスプレイと、引きちぎられる寸前の鋼板を固唾を飲んで見つめる‥‥。
鋼板を破壊するこの実験は、じつは、破壊を起こさず精密にプレスするため、
さらには、それをコンピュータ上でシミュレーションするためなのだ。

蔦森研究室を知るための3つの"?"

取り組む課題 競争の激しい新車開発、いかにスピードアップするか?

安全性と省エネルギーを求められる現在の自動車。そのためにボディに必要なのは、衝撃にも耐えられる強さと、無駄なエネルギーを使わない軽さだ。
でも、この強さ(剛性)と軽さ(軽量化)は、加工技術の上からは矛盾する。薄くて強い鋼板をプレスすると、さまざまな不具合が生じるのだ。第一にワレやシワ。
第二にスプリングバックといって鋼板の強い反発力で金型どおりの形にならないこと。第三に表面に微細な凹凸ができ、周囲環境の写り込みからへこんでいるように見えてしまう不具合。これらをなくすため、従来は、新車の開発段階で何度も金型を作り直しては試作を繰り返す必要があった。金型を作るには時間も費用も膨大にかかる。それが、開発期間を長引かせ、開発経費を大きくすることにもなっていた。この開発のリードタイムや開発経費を縮小する秘策が、蔦森研究室の研究テーマだ。

研究の方向 施策実験を、コンピュータ上でシミュレート

蔦森研究室が研究テーマにしているのは、プレス成形シミュレーション。金型を作りかえては試作を繰り返すのでなく、コンピュータ上で、その試作実験をシミュレートし、開発期間や経費を縮小しようというものだ。最近の自動車メーカーなどでは、すでに、さかんに行われている手法。蔦森秀夫教授自身、長年、大手メーカーで、このシミュレーション技術の向上に取り組んできた実績を持つ。その知識や経験を活かし、さらに精度の高いシミュレーションの開発と、それを使いこなせる人材の育成をめざしている。

メーカーで実際に使われる最新のプレス機も。

金属プレス加工をコンピュータ上でシミュレーションすると言っても、実際の加工工程や使われる材料の材質などを、肌を通して知っていることは重要。
その点、東海地方の製造業を基盤に工業大学として発展してきた大同大学には、プレス機をはじめ、さまざまな工作機械がある。そんな「現場」の近さも、魅力だ。蔦森研究室には実際にプレス加工を体験するための装置も完備している。
写真は、実際に自動車メーカーの開発現場などでも使われているプレス機。ただ、ディスプレイに向かっているだけでなく、現実の機械の操作をすることで、シミュレーションにも実感を持って携われる。

CADなどの知識も確実に身につく

プレス成形シミュレーションは、自動車ボディや金型を設計する際のCADデータを基本に行う。そこに、材料の特性やプレス時にかかる力を表す数値や計算式を入れていく。
より精度の高いシミュレーションをするためには、プレス工程そのものや材料に関する知識、さらにコンピュータのオペレーションに関する知識も必須。もちろん、基本となるCADの知識もしっかり身につけなければならない。
CADは、現在の製造業の基礎。金属加工はもちろんのこと、あらゆる分野・工程で使われている。蔦森研究室で学ぶということは、そんなCADの考え方や技術が確実に身につくということでもあるのだ。

幅広い現場で活躍できるエンジニアの育成を

教授 蔦森 秀夫 博士(工学)

私自身は、トヨタ自動車の開発部署で、この成型シミュレーションを研究してきたのですが、今や自動車メーカーはもとより、家電や各種部品メーカーなどでも、この技術による開発のリードタイム短縮は常識となっています。ここで学んだ知識や技術は、さまざまな分野の製造業で活かせるでしょう。企業もまた、競争力向上のため、この技術を求めています。
エンジニア出身だからこそ、そうした場で実践的に活躍できる知識や知恵も伝えられるとも思います。また、ものづくりを中心とした地に足がついた教育・研究を実践する大同大学だからこそ、元気のある皆さんとともに、この技術をより深められるとも考えています。

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