近年、脱炭素社会の実現のため再生可能エネルギーの活用 が望まれています。日本でも太陽光発電や風力発電などの導入が徐々に進んできてはいるものの、不安定な再生可能エネルギーだけでは消費電力をまかなうのは難しい状況です。燃料費の高騰などもあいまって、電力不足や電気代値上がりなどのニュースが世間を騒がせています。そこで、安定した電力供給体勢を確立するため「発電・送電設備の耐雷対策」という観点から研究に取り組んでいるのが雷研究のエキスパート、大同大学工学部電気電子工学科の植田 俊明先生。
「風力発電の大きな課題のひとつに、落雷による発電機の故障が挙げられます。特に日本海沿岸で冬季に頻繁に発生する『正極性雷』と呼ばれる雷は、電荷量が高いのが特徴です。この地域にある多くの風力発電所が、この正極性雷の落雷に悩まされています。また送電線への雷撃により、停電や設備故障なども数多く発生しています。このように、耐雷対策は風力発電に限らず、すべての発電・送電設備に共通する課題です」
植田先生は、耐雷対策により発電や送電関連設備の故障を防ぐことが、安定した電力供給につながり、ひいては再生可能エネルギーの普及、そしてCO2の削減や電気代値上がりの抑制などにもつながると言います。