卒業生インタビュー「学生時代の挑戦から、ドローン開発の最前線へ」/白山太一さん

インタビューの様子
「やりたいと思ったら、まず動いてみる」
学生時代にAIラボの立ち上げから社会人ではウクライナでの実証実験へ。ドローン開発の最前線で活躍する卒業生・白山さん
空を飛ぶドローンだけでなく、水上や水中で活躍するロボットの開発など、社会課題の解決を支える技術として注目を集めるドローン。そんなドローン業界の最前線で活躍しているのが、本学卒業生の白山さんです。
現在は国産ドローンメーカー「株式会社Prodrone」のエンジニアとして、開発から実証実験、運用まで幅広く担当。近年はウクライナでの地雷探知ドローン実証プロジェクトにも携わりました。
学生時代の挑戦は、どのように現在の仕事につながっているのでしょうか。そして、これからの時代を生きる後輩たちに伝えたいこととは。お話を伺いました。
Q,現在はどのようなお仕事をされていますか?
私は現在、国産ドローンメーカーである株式会社Prodrone(プロドローン)で、ドローンのシステムやハードウェアの開発に携わっています。
ドローンと聞くと空を飛ぶ機体を思い浮かべる方が多いと思いますが、当社では水上ボートや水中ドローンなども開発しています。お客様から寄せられる課題はさまざまで、「危険な場所を遠隔で調査したい」「特定の地点の水質を調査したい」など、それぞれの目的に合わせて機体やシステムをカスタマイズしています。
私が所属する開発2部では、「世の中にないドローンを急ピッチでつくる」を目標として掲げています。ですから、既製品を販売するというよりも、お客様の課題に応じて新たな仕組みを考え、実際に動く形にしていく仕事が中心です。開発だけでなく、実証実験や現場での運用に携わることも多く、技術と現場の両方に関われることが大きな魅力だと感じています。
Q.現在のキャリアにつながる転機は何だったのでしょうか?
振り返ると、学生時代に「面白そうだ」と思ったことへ積極的に挑戦した経験が、今につながっています。
特に大きかったのは、学生サークル「Innovation AI LAB」立ち上げです。学生チャレンジプロジェクトを活用して仲間と活動拠点である工作スペース「Innovation Fab LAB」を並行して立ち上げ、設備の整備や運営に取り組みました。自分たちで考え、行動し、形にしていく経験は、その後の仕事にも通じています。今でも後輩たちが活動を続けてくれていることを嬉しく思っています。
また、大学院時代に参加した「ワールドロボットサミット(WRS)」も大きな転機でした。この大会を通じて現在の勤務先とのつながりが生まれ、その後は約1年半にわたる長期インターンシップに参加しました。
実際の開発現場では、授業で学ぶ理論だけでは分からない課題に数多く向き合いました。現場で試行錯誤を重ねる中で得た経験は、社会人になった今も大きな財産になっています。だからこそ私は、学生時代にこそ授業の外へ飛び出し、さまざまな経験を積むことが重要だと思っています。
Q.印象に残っている仕事について教えてください。
最も印象に残っているのは、ウクライナでの地雷探知ドローン実証プロジェクトです。

実証実験の様子
この取り組みは、国連工業開発機関(UNIDO)が進める復興支援事業の一環として行われたもので、地雷によって利用できなくなった農地の復旧を支援することを目的としていました。私はエンジニアとして参加し、開発だけでなく、現地での機体運用や操縦も担当しました。
現地では技術的な成果以上に、多くのことを学びました。到着した直後、宿泊先の近くがミサイル攻撃を受けた一方で、その周辺では人々がチェスをしたりカフェで談笑したりしていました。戦争が続く環境の中でも、日常生活が存在しているという現実に衝撃を受けました。

ウクライナ現地の写真
また、地雷回収に携わる現地スタッフからは、「取り残しがあれば命に関わる」という切実な声を聞きました。技術者として性能を追求するだけでなく、その技術を使う人の安全や生活まで想像することの大切さを実感した経験でした。技術開発の先には必ず人がいる。そのことを改めて深く考えるきっかけになりました。
Q.ドローン開発の魅力と難しさを教えてください。
一番の魅力は、自分たちでゼロから作り上げたものが実際に空を飛ぶ瞬間です。
設計やシミュレーションを重ねても、実際に飛ばしてみると想定していなかった課題が見つかることがあります。だからこそ、試行錯誤を繰り返しながら完成させた機体が思い通りに飛んだ時の達成感は非常に大きいです。エンジニアだからこそ空を飛ぶものを作るということには、今でも大きなロマンを感じています。
その一方で、ドローンは空を飛ぶ以上、安全性への責任が常に伴います。万が一事故が起きれば、人や設備に大きな影響を与えてしまいます。そのため、開発段階から徹底した確認や調整そして検証を行い、現場で飛行させる際も細心の注意を払っています。
ものづくりの楽しさと、人の安全を守る責任。その両方を感じられることが、この仕事のやりがいだと思います。
Q.ドローン産業の未来と、今後の目標を教えてください。
ドローンは物流や農業、測量、防災など、すでに多くの分野で活用が進んでいます。特に物流分野では、人手不足の解消や地方での輸送効率化など、大きな可能性を持っていると感じています。
私はドローンを「人を助けるロボット」だと考えています。今後はさらに身近な存在となり、社会インフラの一部になっていくのではないでしょうか。
また現在、ドローン市場では海外製品の存在感が大きいのですが、将来的には誰もが手軽に利用できる国産ドローンを普及させたいという目標もあります。日本ならではの技術力を生かしながら、より多くの人の役に立つ製品を開発していきたいと考えています。
Q.最後に、後輩たちへメッセージをお願いします。
大学には、自分から動けばさまざまなことに挑戦できる環境があります。
私自身、学生サークルであるInnovation AI LABの立ち上げやロボットコンテストへの参加、長期インターンシップなど、興味を持ったことに積極的に取り組んできました。しかし当時は、それらが現在の仕事につながるとは全く想像していませんでした。
将来について不安を感じることもあると思います。ですが、学生のうちにすべての答えを見つける必要はありません。大切なのは、「やってみたい」と思ったことに挑戦してみることそして、人との出会いや繋がりを大切にすることです。
大学には先生や仲間など、相談できる人がたくさんいます。まずは一歩踏み出してみてください。
人生は思い通りにならないこともありますが、振り返ると、その時々の挑戦や出会いが今につながっています。周囲の声に流され過ぎず、自分の可能性を信じて行動してほしいと思います。挑戦を続けることで、自分でも想像していなかった未来がきっと広がっていくはずです。
プロフィール
白山太一さん
2026年度 大学院 情報学研究科情報学専攻 情報デザインコース 修了。学部生時代は工学部で工学分野を学んだ後、大学院では情報デザイン分野でプロダクトデザインを専攻。学生サークルInnovation AI LABの立ち上げやワールドロボットサミットへの参加、長期インターンシップなどを通して実践的な経験を積む。現在は株式会社Prodroneでシステムやハードウェアの開発エンジニアとして活躍し、国内外のドローン開発プロジェクトに携わっている。
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