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NEWS

2026.07.07 先生の活躍 機械システム工学科

西堀賢司名誉教授が知立市生涯学習推進講座で「からくりの技術に学ぶ」を講演


当日の会場の様子

2026年6月20日(土)に知立市中央公民館において、知立市生涯学習推進講座の第2回目となる「からくりの技術に学ぶ」が開催されました。

当日は本学工学部の西堀賢司名誉教授(現・名古屋産業科学研究所 上席研究員)が講師として登壇し、集まった多くの市民に向けて、日本の伝統的な「からくり」の技術と、それが現代の先端ロボット工学やものづくりの現場にどのように受け継がれているかについて、深く、かつ分かりやすく解説を行いました。

日本のロボット技術の精神的なルーツを紐解き、現代のものづくりへの提言へとつなげた本講演は、市民にとって地域の伝統と科学技術のつながりを深く再発見する大変有意義な機会となりました。

▼講演内容
本講演ではまず、言葉の語源が「糸や仕掛けを巧みに操る」を意味する「絡む」「繰る」に由来することや、愛知県が全国一位の数を誇る「山車からくり」の文化といった基礎知識が紹介されました。続いて、江戸時代のからくり人形の二大傑作に焦点を当て、その精妙なメカニズムが解説されました。細川半蔵の著書『機巧図彙(からくりずい)』に記された、日本最古の自動搬送ロボットとも評される「茶運び人形」に加え、「東洋のエジソン」と称され後の東芝の礎を築いた田中久重(からくり儀右衛門)の手による「弓曳き童子」が紹介されました。ゼンマイや歯車、カム、糸を駆使して矢をつがえ、的を射抜く一連の動作のなかに、人間らしい「間」や「視線」までも表現した職人たちの卓越した技術力に、受講者からは感嘆の声が上がりました。

さらに、西洋の自動人形「オートマタ」の代表例として、ジャック・ド・ヴォーカンソンの「機械仕掛けのアヒル」などのユニークな事例も引き合いに出され、洋の東西における自動化技術の発展の歴史が比較されました。また、講演の後半では「現代版からくり」として、西堀名誉教授が本学在職中から長年にわたり心血を注いできた「空中ブランコロボット」の開発経緯が詳しく語られました。

空中ブランコロボットは、電気的動力を一切使用せず、ロボット内部のバネと重力、そして巧みな揺動のタイミングを同期させることで、重力に逆らって上り勾配のブランコを自力で登っていくという、従来のからくりの常識を覆す画期的な作品です。2001年のロボットグランプリでの3位入賞を皮切りに、2005年の「愛・地球博」や2007年のロボットミュージアムでの長期実演、さらには2009年の「からくり改善くふう展」での大会特別賞受賞など、数々の華々しい実績と歴史が紹介されました。
この動作原理は理論的にも解明され、日本ロボット学会誌に論文として掲載されるなど学術的にも高く評価されており、現在は工学部機械システム工学科の篠原主勲教授との共同研究という形で、今なお次世代へ向けて進化を続けています。

最後に、これらの技術が単なる過去の遺物や玩具ではなく、現在の最先端の工場において「からくり改善」として息づいている現状が紹介されました。電気などのエネルギーを極力使わず、重力やバネ、滑車といった物理法則を巧妙に組み合わせることで、低コストかつ故障の少ない省エネ動作(エコ動作)を実現する手法は、世界に誇る「トヨタ式ものづくり」の本質でもあります。

日本プラントメンテナンス協会が主催する「からくり改善くふう展」も今年で31回目を数え、産業界における「少ない力で巧妙な動きを生み出す」というからくりの思想は、持続可能な社会(SDGs)を目指す現代においてその重要性をさらに増しています。

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